出張料理人という仕事
料理研究家
浜口 恭子さん

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出張料理人という仕事
  • 出張料理人という仕事
  • PROFILE
  • Kyoko Hamaguchi
  • 東京都出身。エステティシャンの経歴を経て、インナービューティを追求するうちに食の大切さに目覚め、薬膳や食育を研究する。ワインカフェ等でのシェフ経験も豊富。企業へのレシピ提供、番組のフードコーディネーター、レシピ本の制作など、幅広いジャンルで活躍している。
「出張料理人」とは
 お客様のもとに直接うかがい、ご要望に合わせた料理でおもてなしするのが出張料理人。食材もシェフ自身で調達し、お客様の指定する調理設備のある場所(ご自宅など)にて調理、サーブ、片付けまでを行う。個人宅での記念日や女子会をはじめ、会社の送別会やパーティーなど幅広いニーズがある。
 なお、今回取材させていただいた「レンタル・シェフ」を運営するイグジラレート・インターナショナル㈱では、料理人の海外派遣やメディア出演、イベント等への出張サービスも行っている。それぞれの調理スキルや経験に応じ、様々な案件が用意されているので、シェフ登録の条件は調理経験を有することのみ。報酬も各自が設定できる。
空き時間を有効利用したい料理人にぴったりのシステム
 
 大手企業にレシピを提供したり、レシピ本の制作や料理番組のフードコーディネートに携わったり、最近では自ら番組にも出演するなど、浜口恭子氏は料理研究家として幅広く活躍している。さらに、出張料理人を派遣する「レンタル・シェフ」に登録しており、空き時間を有効利用している。
「知人の紹介で1年くらい前から始めました。私のような立場では、毎週決まった曜日や時間に予定を入れるのは無理があります。登録さえしておけば、自分に合った仕事を選べるので、とても便利なんですよ」
 飲食店に勤務する場合、どうしても長時間拘束されてしまうもの。このレンタル・シェフのシステムは、フリーランスで活動する料理人や休日をもっと上手に活用したいと考える料理人にとって、まさにぴったりのシステムといえるだろう。
 もともと、誰かのために料理をつくるのが大好きという浜口氏。仕事に限らず、友人を招いてホームパーティを開くなど手料理を振る舞う機会も多いのだとか。その延長線上に、出張料理人という仕事をとらえている。
「お店では、たくさんのお客様に向けて決まったメニューしか提供できません。お客様と1対1で向き合いながら、その人のためだけに集中できるのがこの仕事の魅力。生の声が聞けるのは何よりうれしいですし、新しい発見もいっぱいあります」
 とはいえ、自宅や店で調理するのとお客様のご自宅などに直接うかがっての調理とでは、やはり勝手が違う。シェフとして経験豊富な浜口氏でも、最初のうちは戸惑うことも少なくなかったようだ。
「初めて使うキッチンですから、すごく緊張しましたし、どこまで触っていいものかもよくわからずに困りました。フライパンなどの調理器具も、使い慣れないものは扱いが難しいですよね」
 今では、出張する前に必ずお客様宅の調理器具類を確認している。必要な場合には予備のものを持ち込むが、基本的には先方にあるものを用い、包丁だけは“マイ包丁”を持参する。
 また前日のうちに、スープの仕込みを済ませたり、食材を細かくカットしておくなど、下準備も大切だ。定められた時間内に、手際よく対応することが出張料理人には求められるからだ。
 一方、一般家庭における会食は時間などがルーズになりがち。「遅れて来られる方がいて、人数が集まらないのが一番困ります」とのことだが、そういうケースばかりではないようだ。
「皆さんが楽しそうに料理を召しあがられるのを見ていると、こっちまで楽しくなってきてしまうんです(笑)。距離が近いのでつい話が弾んで、どこで終わらせればいいのかと、区切りがつかなくなってしまうこともあります」
 アットホームな雰囲気に包まれるだけに、「礼を失した立居振舞いにならないよう気配りが必要」とも浜口氏は指摘する。
シェフタレントや海外派遣活躍の場はさまざまに広がる
 
 いくつかの注意点にさえ気をつければ、出張料理人のシステムを活用するメリットは大きい。自分の腕を存分に振るった料理を、目の前でお客様に楽しんでもらえる。料理人としての醍醐味を毎回、実感できるに違いない。
 リピーターを獲得したときの喜びはまた格別と、浜口氏は語る。なぜなら、お客様は大勢のスタッフのいるレストランではなく、自分自身を選んでくれるからだ。
「もう一度来てもらいたいと、ご指名を受けたときは本当にうれしかったです。お店を持たなくても、自分がつくりたい、食べていただきたいという料理をお客様に提供できる場を持てるのはありがたいですね」
 また、「レンタル・シェフ」は料理人たちの情報交換の場でもある。大規模なイベント会場への複数のシェフの派遣などは、恰好のコミュニケーションの機会になっている。
 まだイベントへの派遣は未経験という浜口氏も、参加に意欲を示している。
「他の方がどういう料理をつくっているのか、とても興味があります。タイミングが合えば、いろいろなシェフと交流できるイベントにもぜひ参加してみたいと思います」
 さらには、タレント性豊かな人材には、浜口氏のようにテレビ出演などのチャンスが巡ってくるかも。海外での活躍を目指す人には、実力次第で外国へ派遣という道も広がっている。
 休日の有効活用や副業をはじめ、自分自身の腕試しの場としても出張料理人というシステムは最適。今後の進路を考えるうえで、新たな選択肢として加えてみるのもいいだろう。

一日のタイムスケジュール

  • 前日
  • 材料の調達とソース等の仕込み
  • ローストビーフのこだわりのソースにはとくに手間ひまがかかる。じっくりと時間をかけて煮込み、明日に備えて寝かせておく。
  • ターニングポイント
  • 11:00
  • 現場に到着して調理を開始する
  • 会食が始まる1時間前に到着し、調理を開始。自宅で素材をカットするなどの仕込みを済ませているので、スピーディに対応できる。
  • ターニングポイント
  • 12:00
  • コース料理の内容をお客様に説明する
  • きれいに盛りつけた料理を一品一品、丁寧に説明。前もってコースの内容を書き出すなど、メニューを準備しておく場合が多い。
  • ターニングポイント
  • 12:15
  • いよいよ本日の食事会がスタート
  • この日はママ友の食事会。幼い子どもがいて、外食する機会をなかなか持てないお母さん方もシェフの手料理をゆったりと満喫できる。同社では、ベビーシッターの派遣も行っている。
  • 14:00
  • 後片づけを済ませ出張サービス終了
  • 会食後の洗いものなど後片づけを手早く済ませ、約3時間で終了。
  • 出張料理人という仕事ママ友の集まりなので、アボカドのムースをはじめ、野菜を中心とした女性好みの一皿に仕上げた。バケットに合わせての食べやすさにも配慮。サーモンやブロッコリーなど、美容効果が期待できる食材も彩りよく並ぶ。
  • 出張料理人という仕事 メインは柔らかくジューシーなローストビーフ。前日から仕込んだ、こだわりのソースが美味しさの秘訣。りんごや玉ねぎを赤ワインでじっくりと煮込み、旨みを凝縮。ワインの酸味を抑える隠し味のコーヒーも効いている。

─ 店舗情報 ─

タ―ニングポイント
  • 文 西田 知子
  • 写真 ボクダ 茂