飲食求人・レストラン求人・飲食店転職・就職 グルメキャリー首都圏版

フードサービス業界の労務相談
「働いてあげている」「働かせてあげている」はトラブルのもと!
現代の飲食業界において、健全な経営状態を保つためには「健全な労働環境の整備」が必要です。しかしながら中小企業、個人自営業が全体の9割以上を占める飲食業界は他のサービス業界同様、健全とは言い難い労働環境により雇用者と従業員間のトラブルが多い業界です。料理業界はそもそも「職人の世界」である事からいわゆる「サラリーマン的」な勤務意識がなく、【働く=奉公=修業→独り立ち】という図式が成立してきた世界ですが、「外食産業」「フードビジネス業界」の名のもと、メジャー業界として確立するには「正しい労務知識」は無視できません。このコーナーでは飲食業界の労働者・雇用者の両者の視点で正しい労務知識を紹介し、雇用者への啓発・提案、そして労働者への権利・責任などを実例をもとに理解していただき、両者にとってトラブルのない健全で分かち合える職場構築のサポートを目指しています。  
今号のご相談内容

今号のご相談内容

「出勤途中に業者へ向かっている途中の事故は、通勤災害か業務災害か」

質問1

Q.

 私は毎日、出勤途中に仕入れ業者に立ち寄り、食材を仕入れてからお店に出勤しています。先日、自宅から仕入れ業者に向かっている途中で事故に遭いました。労災保険では業務上災害と通勤災害のどちらにあたるのでしょうか。
【32才 男性】
答え

A.

 労災保険で扱われる保険事故には、業務上災害と通勤災害がありますが、実務の世界ではどちらにあたるか判断の難しいこともあります。ご質問のケースでは、通勤災害と判断される可能性が高いでしょう。
 労災保険法において、出勤や退勤に際する通勤災害の定義としては、「労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間の往復を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除く」とされています(7条2項1号)。「業務の性質を有するもの」にあたる場合は、通勤途上であっても業務上災害となります。では、自宅から仕入れ業者に向かっている途中は、ここでいう「業務の性質を有するもの」でしょうか。
 行政側としては、
(1)事業主の業務命令があったかどうか。明示の業務命令はなかったとしても当該労働者として職務上当然行うことが予想される用務であったかどうか。
(2)用務の遂行にあたり、通常の通勤時間、通勤順路、通勤方法等と著しく異なった時間、順路、方法等による必要があったかどうか。
 といった観点から「業務」にあたるか否かを判断します。
 具体例としては、突発事故のため休日出勤の呼出しを受け現場へ赴く途中の事故や、無断欠勤した部下の事情調査のため、出勤途上にその部下の自宅へ赴く途中の事故については、業務上災害と判断されました。
 一方、外勤作業に従事する営業担当者に関して、「特定の区域を担当し、その区域内にある数箇所の用務先を受け持って自宅との間を往復している場合には、自宅を出てから最初の用務先に着くまでの間、最後の用務を終えて自宅に戻るまでの間は、特別の事情がない限り、通勤途上とする」という行政通達があります。
 以上を踏まえて、ご質問のケースを検討します。今回の仕入れ先業者に立ち寄る行為は、お店からの業務命令があってのことだと思われます。しかし、その命令は突発的なものではなく、毎日の出勤に際してとのことです。そうすると、通常の業務を開始するのは仕入れ業者に着いてからということになり、仕入れ業者はもはや「就業の場所」であると言えるでしょう。したがいまして、今回のケースは通勤災害と判断される可能性が高いと思われます。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 今回のケースでは通勤災害にあたりますが、本文でも触れたとおり、突発的な業務命令による場合、通勤途上でも業務上災害と判断されることがあります。判断に迷ったら、労働基準監督署に確認してください。

「正社員からアルバイトに雇用形態変更。社会保険料もすぐ変更か」

質問1

Q.

 正社員として働いてきましたが、事情により、同じお店でアルバイトに雇用形態を変更することになりました。フルタイムではないものの、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入基準は満たすので、加入したままとなります。ただ、給料は大幅にダウンする予定です。この場合、天引きされる社会保険料は、アルバイトになった時点で変更になるのでしょうか。
【27才 女性】
答え

A.

 結論としては、アルバイトになった時点で社会保険料が変更になることはありません。変更になるとしても4ヶ月先からです。
 社会保険のパートタイマー・アルバイトの加入基準は、「1週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、一般社員の4分の3以上」となっています(常時501人以上の特定適用事業所では、さらに広い範囲で加入となります)。この基準を満たすと、正社員と同様に社会保険に加入して、被保険者となります。
 正社員からアルバイトに雇用形態が変更になるということは、労働契約については、いったん契約を終了し、新たな契約を開始するということです。しかし、アルバイトになってからも、先述の加入基準を満たしている場合には、社会保険に加入したままとなります。決して、「いったん被保険者資格を喪失して、同時に被保険者資格を取得する」という手続が発生するわけではありません。仮に年金事務所の窓口に喪失届と取得届を同時に提出しても、受け付けてもらえません。
 そうすると、給料ダウンによる社会保険料の変更は、「随時改定」の仕組みによることとなります。随時改定とは、固定的賃金の変更や、給与体系の変更(月給制から時給制に等)があった場合、変更月から引き続く3ヶ月間に支払われた給与の平均額が、従前の標準報酬月額に比べて2等級以上の差が生じた場合に、標準報酬月額が改定される制度です。(標準報酬月額とは、社会保険料計算のために、給与の支給額を一定の範囲ごとに区切った等級表にあてはめて得られる、いわば仮の給与額です)例えば、変更があったのが3月支給分の給与だったとすると、3月、4月、5月の3ヶ月平均で判定され、随時改定にあたる場合には6月分の保険料から変更となります。給与から天引きされる社会保険料は前月分となっています。6月分の社会保険料が天引きされるのは7月支給の給料です。つまり、給与の変更月から見ると、天引きされる保険料に反映されるのは4ヶ月先というわけです。
 なお、60歳以上の被保険者が定年退職後、引き続き再雇用される場合には、例外的に、いったん被保険者資格を喪失し、同日に被保険者資格を取得するという手続が認められています。これを「同日得喪(どうじつとくそう)」と呼びます。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 給与が大幅にダウンしても、3ヶ月間は従前の社会保険料が発生するのは、本人にとっても、保険料を折半しているお店にとっても痛いところです。しかし、制度についてご理解いただくしかありません。
飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒115-0055 東京都北区赤羽西6-15-12

業務案内:給与計算、労働・社会保険の手続き代行、就業規則の診断・作成 店長・管理職対象労務研修の実施、人事・労務相談

お問い合わせはお気軽に! E-mail:info@SR-hisano.com URL:www.SR-hisano.com TEL:03-3906-4636 FAX:03-3906-2722
前回までのご相談

前回までのご相談内容

賃金について

賃金について

労働時間について

労働時間について

休日・休暇について

休日・休暇について

各種社会保険について

各種社会保険について

源泉所得税・住民税について

源泉所得税・住民税について

その他

その他について