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「月末退職で、社会保険料が2ヶ月分控除されるケース」

質問1

Q.

 給与の計算期間が、毎月25日締め、月末払いのお店を、4月30日に退職しました。すると、4月末に支払われた給与からは、2ヶ月分の社会保険料が引かれていました。これは正しい計算なのですか。
【28才 女性】
答え

A.

 社会保険料(ここでは、健康保険料・厚生年金保険料)の、給与からの天引きにはいくつかのルールがあります。細かい途中の話をすっ飛ばして、実務的に重要な点は次のようになります。
(1)社会保険料は、月を単位として発生し、月の途中で入社や退社をしても、日割計算はない。
(2)月末に在籍していれば、その月の分の社会保険料が1ヶ月分かかる。
(3)給与から天引きできる保険料は、前月分に限られる(健保法167条、厚年法84条)。
(4)ただし、例外として、月末退職の場合には、前月分と当月分の保険料を控除することができる。
 ルール(3)については、企業の事務担当者でもよく混乱しているようです。「○月分給与」という表現や、締め日や支給日をいろいろ考え出すと、ややこしくなるからでしょう。ここはシンプルに、「支給日」だけに注目してください。支給日が、10日払いでも、15日払いでも、25日払いでも、月末払いでも、とにかく「ある月の社会保険料は、翌月に支給日のある給与から天引きする」とだけ考えれば良いのです。例えば、25日払いの会社なら、「3月分の社会保険料は、4月25日払いの給与から天引きする」という具合です。これを、実務の世界では、「翌月控除」と呼んでいます。
 ただ、「翌月控除」は、法律で定められた原則であるにもかかわらず、「当月控除」としている会社も実際には少なくありません。先ほどの例で言えば、「3月分の社会保険料を、3月25日払いの給与から天引きする」ということです。しかし、これでは、社会保険の法令に違反するだけでなく、法令に基づいた賃金控除を例外的に認めている労働基準法の「賃金全額払いの原則」(労基法24条)にも抵触することになります。また、法令に基づかない会社独自のルールは、なにかとややこしくなる場面が生じますので、あまり関心できることではありません。
 さて、ご質問に戻りましょう。お勤めになっていたお店が、原則どおりに「翌月控除」で社会保険料を控除していたという前提で進めます。4月30日に退職されたということですので、4月の月末に在籍していたことになります。つまり、4月分までの社会保険料がかかります(ルール(1)、(2))。そうすると、4月分の社会保険料は、翌月の支給日である5月末払いの給与から控除するのが原則です(ルール(3))。しかし、5月末に支払われる給与は、4月26日から4月30日までの勤務分となり、通常の月よりも、非常に少ない支給額となります。もしかすると、1ヶ月分の社会保険料を控除できないかもしれません。そこで、このような場合には、例外を適用して、4月末払いの給与から、前月分(3月分)と当月分(4月分)の社会保険料2ヶ月分を控除することができます(ルール(4))。したがいまして、以上のような計算プロセスを踏んでいたとしたら、お店の給与計算は正しいことになります。
グルメキャリー285号掲載


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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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