飲食求人・レストラン求人・飲食店転職・就職 グルメキャリー首都圏版

地域
変更

フードサービス業界の労務相談
「働いてあげている」「働かせてあげている」はトラブルのもと!
現代の飲食業界において、健全な経営状態を保つためには「健全な労働環境の整備」が必要です。しかしながら中小企業、個人自営業が全体の9割以上を占める飲食業界は他のサービス業界同様、健全とは言い難い労働環境により雇用者と従業員間のトラブルが多い業界です。料理業界はそもそも「職人の世界」である事からいわゆる「サラリーマン的」な勤務意識がなく、【働く=奉公=修業→独り立ち】という図式が成立してきた世界ですが、「外食産業」「フードビジネス業界」の名のもと、メジャー業界として確立するには「正しい労務知識」は無視できません。このコーナーでは飲食業界の労働者・雇用者の両者の視点で正しい労務知識を紹介し、雇用者への啓発・提案、そして労働者への権利・責任などを実例をもとに理解していただき、両者にとってトラブルのない健全で分かち合える職場構築のサポートを目指しています。  
今号のご相談内容

今号のご相談内容

「退職日を合意の上で延期した後、お店の都合で早められた場合、解雇にあたるか」

質問1

Q.

 居酒屋に勤務しています。転職をするつもりで、9月末日付で退職したいとの内容で、退職願を提出しました。すると、店長からは「これから忘年会シーズンで忙しくなるので、12月いっぱいまで残ってくれないか」と言われたため、それに応じることにしました。ところが、10月20日になって突然、「後任を採用したので、10月末日で辞めていいよ」と言われました。私は困惑しながらも、しぶしぶ退職することになりました。これは解雇にあたるのでしょうか。
【25才 男性】
答え

A.

 結論としては、事実上の解雇と認定される可能性は、十分考えられます。
 類似の裁判例がありますのでご紹介します。飲食店勤務の調理長にかかる雇用契約の終了が、会社による解雇にあたるか否かについて争われた事案です。同調理長が4月に退職の意向を伝えたところ、会社代表者との話合いのなかで、「8月半ばのお盆をめどに後任者を探すので、それまで待ってほしい」と伝えたところ、調理長はそれに応じました。ところが、その後7月半ばになって、会社代表者から7月末日で辞めるように伝え、そのまま同日で退職することになった、というものです。裁判所は、「話合いにより、8月ころまでに後任者を探して引継ぎをすることになっていたのに、それに反し7月末日で退職するように求めた行為は、同日をもって解雇する旨の意思表示をしたものというべきである」と判断しました。さらに、「調理長が7月末日までの勤務を求められて、同日で退職したのは、合意が成立したのではなく、解雇の有効性を争わなかったにとどまる」とし、解雇予告手当の支払を命じました。
 ご質問のケースに当てはめてみます。あなたが9月末日で希望した退職日を、話合いの結果、12月末日に延期することで合意した時点では、合意退職が成立していたと言えます。しかしそれに反し、お店の側が10月末日で辞めるように求めたことは、解雇の意思表示があったとされるわけです。さらに、あなたがしぶしぶ退職したのは、退職日の変更に合意したわけではなく、解雇の有効性について争わなかったと認定される可能性もあります。
 使用者(お店の側)は、解雇しようとする際、30日以上前に予告するか、平均賃金30日分以上の解雇予告手当を支払わなければなりません。解雇予告が30日前に不足する場合には、その日数分の解雇予告手当が必要です。
 ご質問のケースは、10月末日付解雇を10月20日に予告したことになるので、不足する11日分の平均賃金を解雇予告手当として支払わなければなりません。
 
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 従業員から退職願が提出された場合に、引継ぎの関係で、話合いの上、退職日を延期してもらうことはよくあるでしょう。しかし、そこで合意によって延期した退職日を、後からお店の都合で早めて辞めてもらうのは、解雇にあたる可能性があるということです。また、早く辞めることに本人が異議を申し出なくても、合意したと認められない可能性もあるわけです。十分注意してください。
飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒115-0055 東京都北区赤羽西6-15-12

業務案内:給与計算、労働・社会保険の手続き代行、就業規則の診断・作成 店長・管理職対象労務研修の実施、人事・労務相談

お問い合わせはお気軽に! E-mail:info@SR-hisano.com URL:www.SR-hisano.com TEL:03-3906-4636 FAX:03-3906-2722
前回までのご相談

前回までのご相談内容

賃金について

賃金について

労働時間について

労働時間について

休日・休暇について

休日・休暇について

各種社会保険について

各種社会保険について

源泉所得税・住民税について

源泉所得税・住民税について

その他

その他について