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株式会社 ファイブグループ
代表取締役社長 坂本 憲史さん

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自らの人生のテーマが『楽しく生きること』。

 店内のあちこちにスタッフ手作りのイラスト付きの案内が貼り出されている。日本酒の銘柄や産地といった商品についてはもちろん、イベントの案内も、トイレへの誘導も手書き。今回、梅雨時期にうかがったところ、手づくりによる大量のてるてる坊主が吊るされていた。生ハム盛りのメニューの添え書きに「お中元にどうぞ」というお遊びのひとことも。
 営業時間中は客単価2~3千円という魅力のもと、週に何度も訪れるリピーターで賑わう。どの時間帯も熱い活気がつづき、そのワイワイがやがや感は、他店にはない盛り上がりだ。
「私の人生のテーマが『楽しく生きること』なんですね。子供のころからの体験や読書を通じて、事ある度にそのことを考えてきました。7万回くらい考えたんじゃないかな(笑)。で、実際に店をオープンするときにも、その考え方を導入したんですね。お客さまを喜ばすことを徹底的に楽しむ店づくりをやったんです。居酒屋をやるというより、エンターテイメントというか、アミューズメント施設というか、第一にスタッフが楽しもうという考え方を徹底したんです」
 当初は、居酒屋の枠組みを超越した空間や演出に、戸惑うお客さまもいた。うるさくてゆっくりと会話ができないといったクレームも多発した。それでも、考え方は変えなかった。
 この信念にもとづいて店づくりを進めた2003年、吉祥寺の第1号店ですでに2時間行列待ちの大ヒット店となったのである。
 坂本氏の言う「楽しむ」という考え方の中には「正直であれ!」という想いが隠されている。
「例えば会社から『よろこんで!』と言いなさいとマニュアルを渡されても、スタッフが無表情で『よろこんで』と言ったら伝わらないじゃないですか。スタッフもお客さまも同じ人間という意識に立って、自分の言葉で何て言おうか、考え工夫することの方が楽しいでしょう。それが通じたら、あるいは喜ばれたら、なおさら楽しいですよね。私たちがやっているのは、そうやって自分に正直になって、日々を楽しむということなんです」

自分たちが楽しみ、その熱気がお客さまを魅了していく。

株式会社
ファイブグループ

代表取締役社長
坂本 憲史
Kenji Sakamoto
1973年、東京都生まれ。大学卒業後、プロントコーポレーション就職。5年半店長職に就き、現場を15店舗経験。飲食店経営について多くを学ぶ。その後、和食、バー、ラーメン業態など主に個人店で現場を経験。2003年、吉祥寺で「とりとん」ブランドを立ち上げ、行列のできる居酒屋として大ヒット。以後も居酒屋をメインに様々なブランドを展開中。

 「働きがい」に関する調査・分析を世界40ヶ国以上で行っている機関、GPTW(Great Place to WorkⓇ)によると「ファイブグループ」社は、従業員25~99人の「働きがいのある会社」ランキングで16位を記録した。ちなみに、従業員1000人以上の部の1位は「グーグル」だ。
 坂本氏による「楽しむ」という考え方がアルバイト~社員全員に浸透し、会社の文化になっていることを、このランキングは証明している。
 また、飲食業の枠を超え、このように世界の企業と対等に「働きがい」を競うことは、飲食業がどう見られているか、という印象にもよい変化が生じ、人手不足の解消にも役立つ可能性があるのではないか。
 年間で100を超えるといわれる社内イベントも「楽しむ」ためのひとつの方法として自然発生的に行われている。「劇団とりとん」という店内全体をステージにしてしまうユニークなイベントも常連客を中心に人気だ。求人募集の項目に「ジャグリングしながら口から火をふけるパフォーマー募集」というユニークなものまである。
「イベントも、本部から押しつけるのではなく、自分たちが本当にやりたいことをやるという姿勢が大事です」
 自分たちが楽しみ、その熱気がお客さまを魅了していく──。この好循環がファイブグループの各店舗で波及している。
 だからだろうか、同業者の来店が多いのも、ファイブグループの特長だ。
 自分たちの言葉で語り、手づくりでイベントを行い、何よりもスタッフたちが一番楽しんでいる現場の光景は、同業者たちにはうらやましく感じると同時に、その雰囲気に触れていたいのかもしれない。
 スタッフの独立についても積極的であり、すでに何人もの独立者が巣立っているが、その逆に、一度退社したスタッフが再び戻ってくることも歓迎している。
「お帰りなさい制度というのがあって、当社に復帰するだけでミニボーナスが支給されます。前に在籍していた会社に戻ってくることは恥ではないと思います。むしろ、本当はやりたくないことをやりつづけることの方が恥ではないでしょうか」
 女性社員が増えつつある。と同時に、他業種からチャレンジしにきた社員も多い。楽しさを求めて転職してくる同業者も増え、社員数は100名を超えようとしている。
「飲食業の中で何年も関わりながらもこれまで楽しめなかった人が、当社に来て楽しめるようになれたらとても嬉しいことですね」

社長として現場を回ることをあえてしない理由。

 現在、ファイブグループでは居酒屋業態をメインに6業態67店舗を展開している。
 エンターテイメント感あふれる居酒屋業態をメインに、餃子を看板メニューにした「ダンダダン酒場」や、ナポリタンに特化した「パンチョ」など、メニューを絞り込んだ分かりやすい業態が特徴的だ。
 しかし、どのような業態でもスタッフは「楽しむ」という企業理念に集中している。逆にいえば、「楽しむ」ことからかけ離れた料理やサービスは、軌道修正を求められる。たとえそれによって数字が上がったとしてもだ。
「私たちのテーマはあくまでも楽しむこと。その楽しみがお客さまの楽しさにつながることです。出店の数や売り上げがテーマではないんです。本部から現場に対して、数字目標も与えません。数字を目標にしてしまうと、そこでスタッフたちの意識が数字に逸れてしまうからです。それでは理念からズレている」
 サービス業は、マネーはあとからついてくるとよく言われる。坂本氏は、このことをさらに研ぎ澄ませ、実践しているように感じる。
「以前は数字にこだわった会議もやっていました。でも、これからは売り上げを求めない会社にしようと本気で思っているんです」
 現場スタッフたちの気持ちを常に考え、行動する坂本氏──。「楽しむ」ことをちゃんとしているかについては目を光らせ、社長として現場を回ることはあえて行っていない。なぜか。
「社長が来る。すると、見られるということにスタッフの意識が向いてしまうからです。意識は、あくまでも楽しむこと。そこに最大のパワーを発揮してほしいからです」
 撮影後、写真になった自分の姿を見ながら「デブだよねぇ(笑)」と自らを楽しんでいるのだった。


吉祥寺っ子居酒屋 とりとん(取材店舗)
株式会社ファイブグループ ─ 店舗情報 ─
吉祥寺っ子居酒屋 とりとん
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-1 井の頭ビルB1F
電話/0422-46-2417

居酒屋いくなら俺んち来い
東京都豊島区東池袋1-15-5 東洋工業池袋第2ビル2F
電話/03-3986-0855

池袋っ子居酒屋 俺たちのとりとん
東京都豊島区南池袋1-20-9 第一中野ビルB2F
電話/03-5952-1518

cafe&Dining ペコリ
東京都町田市原町田4-5-8 レガロビル4F
電話/042-726-5045

もっくん
東京都渋谷区渋谷2-22-14 春日ビル2F
電話/03-3406-8828

居酒屋いくなら俺んち来る?
東京都新宿区高田馬場4-8-7 花川ビル8F
電話/03-3371-8692

現在、67店舗展開中
http://five-group.co.jp/

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