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リーダーに聞け

地産地消を超えて、生産者と生活者をつなぐ場づくり

 街を見て、そこに暮らす人と語り合い、土地の記憶をたどり、地域の魅力を見つめ直し、一軒一軒オリジナリティあふれるカフェを創る。そこに人々が集い、街のコミュニティが創られていく。カフェ・カンパニーは、こうして街に「集い場」を創ってきた。代表の楠本氏は旅に出た時、訪れた街を生活者の視点で歩き、趣味のジョギングをする。そうすることで見えてくる風景がある。 「ある街を訪れた時のこと。いつものように、朝ジョギングをしたんです。そこは電車の駅からも遠く、幹線道路からもほど遠い場所なんですね。つまり、拠点と呼ばれているような場所ではなく、拠点と拠点のはざ間にある何気ない平面です。そこにこんな美しい価値があるものなんですね。拠点とか、それを結ぶ線とかで発想してしまうと、こういう美しい光景やそこで息づいている生命力みたいなものを見逃してしまうと思ったんです」
 確かに地域を定規でつなぐのではなく、コンパスをあててぐるりと円を描くようにすれば、その地域に内在する価値をきめ細かく抽出することが可能だ。こうした発想から生まれたのが「100マイルカフェプロジェクト」である。 「ここ渋谷の『PUBLIC HOUSE』からぐるりと100マイル(約160キロ)圏内の産直野菜など、生産者の想いを集めて、新しい解釈のイタリアンとして表現しています。例えば、千葉県の西岬(にしざき)漁協では人気のブランド魚の水揚げも多いのですが、私たちはそこでとれる雑魚、つまり網にひっかかった価値が低いとされる魚の美味しさを再発見していきたいと思っていて、メニュー化しているんです。機能性ばかりを追い求めるよりも、その地域にはどんな生き様があるんだろう? と想いをめぐらし発想を深め、それをカタチにして提案するのが私たちの使命だと考えています」
 生産者と生活者をつなぐ場。あるいは音楽やアート、ファッションデザイナーなど異分野の人々が心地よく混在し、異文化コミュニケーションできる場として、「100マイルカフェプロジェクト」は今後も全国さまざまな場所に丸い光をあてていく。

旅をテーマに、地域ブランドを活性化するSAプロジェクト。

歩み

 高速道路のサービスエリア(SA)の企画・設計から運営までを一括受託する新事業にも、カフェ・カンパニーはチャレンジをはじめた。千葉県・館山自動車道の市原SAがそのスタートラインだ。
 楠本氏は以前から「旅」を重要なテーマに掲げてきた。青山「246 CAFE<>BOOK」では、人生という旅の途中でくつろぐ場所としてのCAFEを提案した。
 市原SAに完成する施設の名称は「食べる」ことと「旅」をかけあわせて「TABE TABI MARKET BOSO CENTER ~房総を食べて旅するマーケット~」。「WIRED CAFE」を高速道路に初出店させるほか、千葉・房総でとれた恵みをフードコートスタイルや、農水産加工品、自家製パン、スイーツなどに表現し、さまざまなゾーンで展開する。
「西海岸のフィッシャーマンズワーフのような外観をイメージして、わざわざそこを目指して行きたくなるような開かれたコミュニティを創造していきます。地域のいいものは、これまで東京を通して全国展開され、海外マーケットへと拡大していくという道すじがありましたけど、これからは地域のいいものが、いきなり海外へ出ていく時代になると思っていて、その意味でもここは地域ブランドの発信地になれたら素晴らしいですよね」
 開放的なウッドテラスのある外観は、ドライブの疲れを癒すにも効果的だろう。これまでのSAのイメージを塗り替えそうだ。  カフェ・カンパニーは、企画はもちろんのこと、設計・デザイン・商品開発、運営チームを社内で抱えている。だからこそ、新しい事業に踏み出すとき、これまで積み上げてきたノウハウをスピーディに生かすことができる。
「今後もさまざまなコンセプトによる企画が計画中です。東アジアへの出店も含め、その地域の生き様を表現した『EWITED CAFE』など、既存ブランドもこれから提案していきます。それらを実際に軌道に乗せ、根付かせていくための運営チームの存在はもちろん、多様なメンバーがそれぞれの個性を生かし、社内に新しいDNAを融合させて、私たちならではの価値を創造できるカンパニーへと成長していきたいですね」

異能どうしがコミットするとき、新しい価値が生まれる。

リーダー

 カフェ・カンパニーの「CAFE」とは、業態の「カフェ」とは違う。「CAFE」=「Community Access For Everyone」。つまり、みんなが集まるコミュニティの場、という意味を指す。
 そして「みんなが集まる」のひとことの中に、実は無数の広がりが隠されているのだ。
 生産者と生活者という食材の価値を共有し、リスペクトしあう人たちを指すこともある。またクール・ジャパンを発信する側とそれに興味をもつアジアの人たちとの交流もあれば、IT系のビジネスパーソンとアートや音楽を志す人との異文化交流もそこにはある。 「違う価値とか、異なる文化をもつ人どうしがコミットするとき、今までにない新しい価値が生まれると思うんですね。電極がふれあって、美しい火花を散らすみたいに。私たちにとっての『CAFE』とは、そういう発火点みたいな場でもあります。ですから風景としてはいつでも街に開かれていて、風通しがよく、その地域の生き様や人が織り成すストーリー、世界からの情報が行き交う社会基盤みたいな存在を目指しているんですよ」
  渋谷「PUBLIC HOUSE」の片隅に地球儀がころがっていた。  点から面への発想。あるいは、地域の生き様を創造する、といった話を聞いていると、楠本氏はアタマの中に丸い地球をイメージしていて、話題と共にその小さな面に光を投影しているようなところがあると感じた。そしてその視点は、楽しそうに浮遊している。 「メルカトル図法で描いた地図を読むような感覚で、ひとつの地域を平面的に見ないようにしています。地球儀にはどこにも真ん中の国や地域なんて存在しないでしょう? その視点を大切にしながら、『CAFE』のある風景をつくっていこうと思っているんですよ」


PUBLIC HOUSE(取材店舗)
店舗情報
PUBLIC HOUSE
東京都渋谷区渋谷3-29-17 ホテルメッツ渋谷3F
tel:03-3409-5561
WIRED CAFE 渋谷QFRONT店
東京都渋谷区宇田川町21-6 QFRONT 6F
tel:03-5428-2620
246 CAFE<>BOOK
東京都港区南青山1-2-6 Lattice aoyama 1F
03-5771-6886・03-5771-6899
SPAGHETTERIA BUONO!丸の内店
東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル TOKIA B1F
tel:03-5223-8261
Planet3rd 高円寺店
東京都杉並区高円寺南2-49-18 ベルメゾン高円寺1F
tel:03-3318-3931
食堂居酒屋どいちゃん本店
東京都武蔵野市吉祥寺南町2-8-6-1F
tel:0422-76-7822
http://www.cafecompany.co.jp
  • 文 高木正人
  • 写真 ボクダ茂

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