現場と本部
立場の違うふたりの本音
ひなた 株式会社
代表取締役 辻 英充さん
取締役部長 関谷 豪さん

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ひなた 株式会社 代表取締役 辻 英充×取締役部長 関谷 豪 太陽の光を浴びる樹木のように、
成長するために──。
Go Sekiya
1980年、東京生まれ。専門学校卒業後、都内のフグ調理店で12年間勤めながら、ふぐ調理師免許取得。人の紹介で2013年、「ひなた 株式会社」に入社。「魚猫」立ち上げに貢献。週に1度の築地通いをしながら現場に立ち、スタッフの育成、チームづくりなどマネジメントを担当している。
Hidemitsu Tsuji
1976年、長崎県生まれ。ライブハウスのバイトを経て、25才で東京へ。フグのチェーン店に就職、ふぐ調理師免許取得。やきとん店で経験を積みながら1年で200万円の自己資金を貯める。2010年第1号店をオープン。2011年、法人化。7店舗分の魚介を仕入れに毎日築地へ通う。

2016年2月掲載

鮮魚をメインに、板橋区エリアでドミナント展開

── 「雨ニモマケズ」という店名に文学的な響きを感じます。「君思ふ暮らし」という店舗もありますね。どのような想いを込めて、店名をつけているのでしょうか。

「会社の考え方や理念を落とし込んでいます。ひなたという社名には、太陽をいっぱい浴びている樹木をイメージとして重ねているんですね。たくさんの枝はスタッフのこと。枝が育つことで、太い幹となってひとつの木が存在する。そんな成長をしていきたいと思っています」

── 創業5年で7店舗。着実に成長していますね。おいしさという飲食業の原点にこだわり、組織一丸となって追求されているのを感じます。

「私たちは板橋区を中心とした城北エリアでドミナント出店を展開している企業です。やきとん業態にはじまり、割烹や鮮魚居酒屋、イタリアン&クラフトビールなど、その街に求められ、愛されつづける飲食店づくりをめざしています。ただ、これまで物件ありきで成長を進めてきた中で、社内がうまくまとまらずうまくいかない時期も経験してきました。これからは人を育て、そのタイミングに合わせて新店づくりをスタートさせる。そういう成長へとシフトしていこうと考えています」

── 関谷さんが任されていること。会社で与えられた使命とは何ですか。

関谷「意識改革でしょうか」

── 意識改革……?

関谷「ちょっと大げさな言い方ですけどね(笑)。たとえば、やきとん業態だからこの程度の仕事でいいんだという意識ではなく、お帰りになるお客さまをお見送りすることなど、味はもちろんですけどサービス面でもひなたグループらしさとは何か、を追求しています。少しずつですが、えっ? この価格でこの味、このサービスなんだ、いいねって、言ってくださるようになりつつあります。自分たちのひとつ一つの仕事の積み重ね、行動が利益を生み、そこから給料が支払われていると思うんですね。つまり、給料をもらうという感覚ではなく、自分で稼ぎ出しているという感覚をみんなにもってもらいたいのです」

「現場のスタッフたちの個性を見極めることも、関谷に期待している部分です。新店立ち上げのとき、このふたりの個性をぶつけてみたら面白いことができるとか、そういう相性のよさ、かけ算になる個性と個性をしっかりと把握してくれているのが心強いです」

── 関谷さんは、現場のスタッフのみなさんの個性を知るために日頃どのようなことをされているんですか?

関谷「それはもう、ひたすらコミュニケーションです。挨拶にはじまり、ミーティングもしっかりやって、ときにはプライベートなことにも耳を傾けるようにしています」

── 彼女できたか? とか。

関谷「そうですね(笑)。そうやってコミュニケーションを深めていくと、問題点や改善点も同時に分かってきます。外側からは見えないことが、いっしょに肩を並べて仕事をしていると見えてくるんです」

「そういった現場の気持ちを、吸い上げてくれるのも関谷の大事な役割でもあります。私は毎日、7店舗分の鮮魚を仕入れに築地に行くのですが、現場に立つことはありませんので、現場の細かなことは彼から訊くようにしています。組織を法人化した2011年には大震災もありました。私たちは、ボランティアで被災地に出向いて、料理を楽しんでいただく試みも行ってきました。そうやって、飲食の尊さや大切さを社員みんなで体験しながら、飲食の仕事をすることの意味を問い続けていきたいと考えているんですよ」

大箱の新業態もスタート。2016年は変革の一年に

辻 英充

── 新店「日々是君想」は、初の65席の大型店舗ですね。これまでの出店と比べて、ご苦労とかはありますか。

関谷「クラフトビールでイタリアンを楽しんでいただくという新業態で35坪という規模は新しいチャレンジでした。カウンター席の他に、グループでわいわい楽しめるテーブル席もつくりました。実際にオープンして、既存店とはまったく違うオペレーションが必要となり、スタッフと毎日改善を積み上げているところです。ただ、環境に応じて仕事の質を変えたり、新しいルールをつくったりといったことは、これからの会社の成長を踏まえるとき、とてもいいことだと思うんですね。つねに変化して、新しいことにチャレンジできる、柔軟さを意識した組織でありたいですから」

「やきとん業態を3店舗回していた創業時はミーティングもあまり行わなかったため、チームコミュニケーションがうまく取れなかったという反省があります。ここ2年ほどで新しい業態を含め7店舗になり、大箱でのオペレーションもはじまってくると、これまで以上に社内コミュニケーションが大切になります。また、店長職のリーダー力、サービスのきめ細かさやスピード、そして個人のスキル、それらを結集させたチーム力などの面で成長していかなくてはなりません。会社として、教育の仕組みを大きく見直す時期にきていると考えています」

── 2016年は変革の年であると。

「そうですね。その意味でも、環境を整備することは私の役割ですが、関谷にはますます人の成長を加速させるという使命が大きくなるでしょう。先ほど、意識改革という言葉が出ましたけど、関谷は本格日本料理を伝授できるスキルをもっています。ふぐ調理師免許の資格もあります。現場で、ぜひとも志の高い、感性豊かな料理人を育てていってほしいですね」

関谷「プレッシャーかけますね(笑)。でも正直言って、私も社長と同じ考え方です。同じ方向を社員みんなが共有できる組織でありたいですね。社長の期待に応えるため、精神面でもスキル面でも、現場を引っ張っていける存在へと私自身成長をつづけていきます」

企業理念を共有しながら、一人ひとりがさらなる成長へ

関谷 豪

── 一人ひとりがさらに成長していくためには何が必要なのでしょう。

「会社の理念を共有することだと思っています。理念、つまり会社の生きる道をみんなが理解し、同じ道を意識しながら進んでいくことです。簡単なようで、実はとても時間がかかることでもあります。関谷とふたりで、企業理念をつくり、少しずつスタッフに浸透させている段階です。日々の業務に追われて、スタッフたちもなかなか時間がないなか、一生懸命に同じ考え方を理解しようと努力してくれていることに感謝しています」

関谷「具体的に申し上げますと、町になくてはならない、50年後もそこにありつづける店であれ、という理念を私たちはもっています。ということは、スタッフ一人ひとりがエリアに根付き、板橋区エリアの人達から愛される店になることをめざすということです。あなたの行動、仕事は町の人々に見られているんですよ、そういう責任感をもちながら日々過ごしましょうということでもあります。また、現場第一主義という理念も掲げています。飲食業はお客さまありき。そのお客さまに直接向き合うのは現場です。すべては現場から。現場が一番。これは板前出身の社長だからこそ発想できたことではないでしょうか」

「本部機能を大きくするつもりはありません。広いオフィスを持とうという発想もありません。私がひとりで築地へ仕入れに行き、現場を関谷や各店長に任せ、私は会社の仕組みや環境づくりに集中していけたらと思っています。小さな本部のまま、現場の育成にしっかりと投資していきます。働きやすい環境、仕事に打ち込める現場、納得しながら成長できる組織へと改革を進めていきたいですね」

── 鮮度抜群のやきとんといった毎日でも通いたい業態、鮮魚で魅せる居酒屋、クラフトビールでワイワイと楽しみたいイタリアンもあれば、フグのコース料理を提供する高級業態もある。地域のお客さまは同じ「ひなたグループ」だと認識されているのでしょうか。

「6~7割は『ひなた』だと分かって回遊していただいています。とても感謝しています。客単価7~8千円の少しアッパーな業態も、素材と味のこだわり、そして何よりスタッフの魅力と個性で地域に馴染んでいきたいですね。2020年をめどに14~15店舗へと拡大していく計画です」

── 地域になくてはならない飲食店グループになりつつある「ひなた」ファンが増えてきているのを感じます。今日はありがとうございました。

ひなた 株式会社 取材店舗/雨ニモマケズ

ひなた 株式会社 ─ 店舗情報 ─

■雨ニモマケズ 池袋店
住所:東京都豊島区池袋2-19-9
電話:03-5950-7500
■魚猫 大山店
住所:東京都板橋区大山町30-19 渡辺ビル1F
電話:03-3958-0802
■やきとんひなた 大山店
住所:東京都板橋区大山町8-8
電話:03-3955-0086
■君想ふ暮らし 新板橋店
住所:東京都板橋区板橋1-48-1
電話:03-3961-3743
  • 文 高木 正人
  • 写真 ボクダ茂

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