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株式会社 もとやカンパニー
代表取締役 下里 力さん

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厨房に立つ経営者

2018年3月掲載

やきとん・蓮根・肉刺し 三代名物が評判の大衆酒場

 池袋駅からやや離れた立地ながら、「やきとん えん家」はいつも大勢のお客様でにぎわっている。代表の下里氏が目指すコンセプトどおり、店の雰囲気は“ザ・大衆酒場”。オヤジ天国のように見受けられるが、若者や女性のお客様も急増中。食べログでの高評価もあって、遠方から訪れる人も少なくない。

「若い方のほうがアンテナを張っているからでしょうか。おじさんの店をイメージしていたのですが、本当にびっくりです。女性客が8割なんて日もあるくらいなんですよ」

 幅広い層から支持される理由は「味とコスパ」にあると、下里氏は分析。ちょい呑みに最適な180円からのメニューが揃う。逆に、がっつりと楽しみたいお客様の間では、三大名物が評判を呼んでいる。

「やきとん・蓮根・肉刺しで勝負しています。やきとんは何はともあれ朝締めの新鮮なもの。大ぶりにカットして強火で手早く焼き上げるので、召し上がった方は鮮度を実感してもらえるはずです。農園直送の蓮根は、掘り起こした翌日に届きます。冬場の旬の時季だけの蓮根料理を楽しみにしてくださっているお客様も多いんですよ。低温調理の肉刺しは今、トレンドになってきていますが、通年提供できる名物をもう1つ増やそうと考案したもの。低温で殺菌することで安心して、ほどよい生の食感を味わっていただけます」

 どのメニューにもこだわりがぎっしり詰まっているが、決して派手にアピールしない。サービスの面でも、下里氏は大衆酒場スタイルを貫く。

「一品一品への思い入れをいかにクドくなく、お客様に伝えられるかには気を配っています。押しつけになってしまうと、単なる自己満足ですから。あくまでも自然体で、お客様に寄りかかりすぎてはいけません」

 良い意味でお客様とは対等のスタンス、フラットな関係を築いていく。そんな姿勢にも、繁盛店の秘けつがあるのだろう。

常連のお客様に支えられながら口コミで広がり一躍人気店へ

 31才まで営業マンとして働いていた下里氏が飲食の世界に飛び込んだのは、将来の独立開業を見据えてのこと。しかし、当時は空前のラーメンブーム。最初に選んだラーメン店は既に飽和状態で、独立には不向きだった。さまざまな店で経験を積みながら模索を続ける中、ようやく「これだ!」というものに巡りあえた。

「すごく美味しいやきとんで、初めて自分のお金を払って食べに行きたいと感じたのです。沖縄出身で豚は身近な食材だったのに、なぜ気づかなかったのか。店を開くなら、この業態だと決めました」

 目標が明確に定まり、独立資金を貯めるため、「とにかく給料がいい」大手外食企業に転職。飯田橋の居酒屋の店長として腕をふるった。

「完全実力主義の会社で、店長が全部のメニューを開発したり、すべて任されていました。ここでの2年半の経験が今のベースになっています」

 店舗運営のノウハウやスキルを習得するというだけではなく、常連客と深いつながりを構築。自身の結婚式には、30人以上のお客様が駆けつけてくれたのだとか。

 2016年5月、念願かなって、池袋に初出店した際にも、その人たちが支えてくれた。

「駅近ではないので、ふらりと来られるお客様は期待できません。オープンした当初は赤字を覚悟していたのですが、最初からトントンでいけたのは、飯田橋のお客様がわざわざいらしてくれたおかげです」

 その後、グルメサイトをはじめ口コミでたちまち評判が広がり、軌道に乗っていく。一躍人気店へと成長を遂げた現在も、下里氏はそのときに受けた恩を決して忘れない。

「この町内会にも、毎日のように来てくれた方がたくさんいらっしゃいます。店が忙しくなると、常連さんはやはり次第に離れてしまうもの。たまに近所で顔を合わせることがあっても、『暇なときにあんなに来ていただいたのですから、気にしないでください』と伝えています。ただ1人、その頃からずっと2、3日に1回くらい通ってくださる常連のお客様がいます。金曜・土曜はほぼ満席になるのですが、そのサイクルがちょうど当たった場合には、その方のために席を空けておきます。もちろん、ご本人には知らせていません。それで、その方がいらっしゃったときは、よっしゃ!(笑)。うれしくて、気持ちいいんですよ」

今後の店舗展開の基盤となる新店オープンに向けて準備中

吉田 純一

 繁盛店をつくり上げた後は、いよいよ次のステージへ。年内の新店オープンに向けて、下里氏は着々と準備を進めている。

「場所は池袋か飯田橋で、扱う素材は同じ、豚ホルモン系の焼肉店を予定しています。10店舗は目指したいところですが、まずはその前に年商1億円を達成したいと考えています。それを実現するための一番の課題は人。未経験の方から即戦力となる人材まで、年令を問わずに採用していきたいですね」

 新店は、スタッフの労働環境と育成システムを整えるためのモデル店になるとのこと。今後の店舗展開の基盤となるパッケージの完成を目標にしている。

 一方で、店名の「えん家」に込められた「人との縁を大切に」という想いは変わらない。

「10年、20年とその街に住んでいる人や働いている人たちに愛される、地域に根ざした店にしていきたいですね。お客様はもちろん、スタッフの皆も業者の方も店に関わるすべての人が幸せになるような店づくりを目指します」

 最後に、また新たな縁を結ぶことになるかもしれない読者のみなさんに向けて、下里氏はメッセージを送ってくれた。

「仕事を好きになり、楽しむことです。お客様がいらして『美味しい!』と言っていただけたら最高じゃないですか。たとえお客様が来なくて大変なときも、意地でも楽しまなければ。将来、独立を考えているのなら、謙虚さも大切。常に学び続ける姿勢で、あとは計画性さえ持てば必ずうまくいくでしょう」

厨房・フロアに立つ経営者
やきとん えん家
東京都豊島区池袋2-59-9 ラレーブ池袋1F
電話:03-6912-7699
時間:月~金/17:00~24:00     
土日祝/17:00~23:00
定休日:年中無休
交通:各線「池袋駅」徒歩6分
  • 文 西田 知子
  • 写真 yama

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