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シェフパティシエ/シェフショコラティエ 江口 和明さん

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厨房に立つ経営者

2017年12月掲載

明解な理論をもとに創り出される繊細かつ斬新なショコラスイーツ

 世界中から選りすぐったチョコレートを操り、精緻な技をもって創りあげる。江口氏が手がけるショコラスイーツはどれも繊細かつ斬新、比類ないこだわりが詰まっている。
「チョコレートには最初に香りがガンときてスーッと消えていくものと後から味わいがじわじわと出てくるものとがあります。初めからこういう曲線を描くチョコと“噛めば噛むほど美味しい”タイプのチョコを合わせれば、ずっと美味しいものになります。なぜこのチョコレートを選ぶのか。それを明確にして、自分が美味しいと思うものをスタッフに伝えるために、全部の材料に味覚チャートを作っています。たとえばここでナッツの香りがするとか、チャートを確認して更新するために、毎日チョコを食べ続けているんですよ」
 その日のシェフの気分や体調によって、さじ加減が変わるようなことは決してない。デリーモブランドのスイーツはすべて明解な理論をもとに創り出されている。
「プロ用の料理の本も全然使えないですよね。『メレンゲを3回に分けて加える』とあっても、どの程度加えるのか。『1グラムも間違わずに計れ』とよくいわれますが、仕込みには特質的な経験が必須。お菓子はもっと科学的なはずです。1グラム足す1グラムは2グラムに決まっている。足りなくなるのはロスがあるから。なので、歩留まりまで計算して、絶対にミスしないレシピをつくります。それでミスをしたら自分の責任。『最近の若い者は』とか『ゆとりだから』なんて言いません。すべてはイケていない上司のせい。ゆとっているのは自分だと思ったほうがいいでしょう」
 味覚には絶対的な自信があると、胸を張る江口氏。全レシピを惜しみなくスタッフに公開。目下の悩みは“科学的指導”を受けた人たちが次々と巣立っていくことにあるのだとか。
「他の店では教えないようなこと、自分が30才でようやくわかったようなことも教えるので、みんな知識をつけて旅立っていってしまう。そこがつらいところです。かといって、教えるのをやめはしません。スタッフはレシピを携帯で撮って回し見たりしていますが、どんどん流出してもそれ以上やればいいだけのこと。自分自身もっとがんばれるととらえて、成長していきたいと思います」

初めて食べたケーキの味が原点 あのときの衝撃を皆と共有したい

 なぜお菓子を創り続けるのか──江口氏は確たる答えを持っている。その原点は中学3年生にまで遡る。
「誕生日に買ってもらったケーキを初めて食べて、こんな美味しいものがあるんだと驚きました。父は頑固な和食の職人で、厳しい家庭環境もあって、それまで食べさせてもらえませんでした。あのとき、感じた衝撃や楽しさを多くの人と共有したい。みんなが美味しいと感じるお菓子で喜びの輪を広げたいと思っているから、今も一生懸命続けているのです」
 専門学校で製菓を専攻し、卒業後は数々の名店で修業を積んできた。志した道を一心に突き進んできたようだが、26才での転機がなければ「危なかったのでは」とも振り返る。
「朝から夜遅くまで下積みの仕事で、転職していなかったらどこかで朽ち果てていたんじゃないかな(苦笑)。グローバルダイニングに入社して、人生が変わりました。グローバルでは年令に関係なく、結果を出した人が正義でした。自分の持つノウハウをどうすれば事業化できるのか。チョコレートの事業を一手に任されて、経営を学ぶことができました」
 4年かけて赤字事業を黒字に転換。「こうすれば世に打って出れる」という確信を得て、2013年、デリーモブランドを立ち上げる。その後、国内3店舗に展開。ジャカルタにも出店を果たす。好調な業績を支えているのは、江口氏の今も変わらない「お菓子を通して喜びの輪を広げたい」という想いに他ならない。
「スタッフには、私たちの仕事は“お客様喜ばせ業”だと伝えています。たとえば注文したのに『頼んでいないものが入っている』とか、理不尽なクレームにもあやまります。お客様を怒らせ、そう言わせてしまう環境をつくった私たちが悪いのですから、お客様を喜ばせられなかったことに対しての謝罪です。1周年、2周年には、全品無料にして楽しんでいただくイベントも行いました。4時間待ちの行列ができたんですよ。そうして喜んでいただいたお客様は、必ず戻ってきてくださるものです」

飲食は最高に楽しい仕事 選べば良い人生につながる

江口 和明

 来年3月、東京ミッドタウン日比谷内に新店がオープン。今までにない新業態へのチャレンジになる。
「どんな時間帯に来ても楽しめるカフェです。料理もお酒も提供して、イベントが行えるような店にしたいと考えています。最終形態のカフェというか、自分としてはカフェではなくケーキ屋と呼びたいところです」
 あくまでもお菓子をベースとしながらも、江口氏はワイン事業などにも取り組んでいる。多方面にアンテナを向け、攻めの姿勢を崩さない。
「将来的には違うコンセプトの店を出したいですし、食器などの物販もやってみたい。他業種とのコラボにも関心があります。日本人として食材を見直すなど日本のことももっと勉強したいですし、今はビジネスが優先になっていますが、いずれはコンクールにも挑戦したいですね。スピード感をもって、いろいろなことに関わらなければ間に合いません」
 1日24時間では足りないくらい、多忙な日々を送る。それでも、「こういう生き方を自分で選んだのだから」と江口氏は満ち足りた笑顔。飲食の道を志す人々に向けても、「良い選択だ」と太鼓判を押してくれた。
「今は、学ぶ方法がいくらでもある時代です。新しい自分のスタイルを見つけるまではしんどいこともあるかもしれませんが、飲食は最高に楽しい仕事。やってよかったなと思う時間のほうが圧倒的に多い。スイーツは100%、お客様が喜ぶ場面に登場するものですしね。苦労することがあってもお客様に『ありがとう』『美味しかったよ』と言われるだけでチャラになる。飲食を選ぶことは、いい人生につながると思います」

厨房・フロアに立つ経営者
Pâtisserie & Chocolat Bar DEL'IMMO 目白店
東京都豊島区目白2-39-1 トラッド目白1F
電話:03-3988-1321
時間:11:00~20:00(L.O.19:00)
定休日:不定休(トラッド目白に準ずる)
交通:JR山手線「目白駅」より徒歩30秒
http://www.de-limmo.jp
  • 文 西田 知子
  • 写真 yama

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