独立希望者必見!
料理人オーナーからの
熱いメッセージ
魚貝 ののぶ
店主 土田 宣隆さん

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厨房に立つ経営者

2018年7月掲載

当たり前のことを当たり前に 正直にやっているだけです

 おしゃれなカフェからせんべろの立ち飲み屋まで、さまざまなジャンルの飲食店がひしめく高円寺。ところが、魚を美味しく食べられる店は思いのほか見かけない。2年前、この街に「魚貝 ののぶ」がオープンした際には「待ってました!」と喜んだ人も多いのでは。一躍人気店として知られるようになった今も、店主の土田氏の真摯な姿勢は変わらない。

「お客様にご支持いただいているのは、“いいものを安く”という原理原則をきちんと続けてきたからだと思います。当たり前のことを当たり前に、正直にやっているだけです」

 毎朝、築地まで出向き、自ら目利きして素材を選び抜く。のみならず、その日の仕入れの成果をフェイスブックにアップ。見るからに活きのいい魚や貝の写真が並ぶ。さらには「今年のかつおはホントにいい。カワハギはやっぱり肝醤油でしょう。白身はハタ、コリコリの食感がたまらない」などと添えられたのを目にすれば、思わず店へ足が向くというものだろう。

「知り合いから『せっかく毎日、築地に行っているんだから、写真に撮ってみては』とすすめられて始めました。はじめのうちは文面を考えてアップするのも面倒に感じていましたが、お客様の反応が意外によくて、毎日更新するようになりました。実際にこれを見て、いらっしゃる方も多いんですよ」

 先月には店内の一部を改装して、リニューアルオープン。土田氏のイメージ通り、「温故知新な雰囲気」に仕上がった。古民家のような温もりと安らぎを感じさせる空間、大人たちの憩いの場として「ののぶ」はますます注目を集めそうだ。

自分にできるのはやはり魚 いいものを安く提供します

 独立に至るまで、土田氏は多様な経験を積んできている。高校卒業後、ホテルで調理の仕事に携わるも転職。全くの異業界、旅行会社に勤務していた時期も。飲食の世界に舞い戻り、最初の職場に選んだのが三光マーケティングフーズだった。

「300席もある居酒屋で、本当にキツかったです。コントロール指数とかを計算して、売上げ予測を立て、アルバイトのシフトは15分単位で決めていました。人件費率や原価比率も0・1%単位で毎日ファクス。システマティックに数字を使わないと仕事にならないんです。ここで理論を身につけました。ポイントさえつかめば原価率を下げるのは簡単。立て直しが必要な店に入ってすぐに結果を出せるようになると、もう十分だなと感じるようになっていきました」

 次のステップは、いきなりのドイツ・ミュンヘン。就労ビザを取得しやすい職種の1つとして「日本料理人」というカテゴリーがあるのを知ったことがきっかけとなった。

「それに業界内で三光といえば有名でしたので、面接を受けると必ず『あそこにいらっしゃったんですね』となるのに抵抗がありました。そういうバックボーンのないところで、勝負したいと感じました。インターネットで世界中の国々に応募して、最初にヒットしたのがミュンヘン。結局、3年間働きましたが、日本では高級なフォアグラやキャビアも身近に扱えるし、ワインはまさに日常のもの。料理の幅が広がりました」

 帰国後、「魚金」など居酒屋を中心にさらに経験を重ね、土田氏の中にある想いが高まっていった。独立に向けて決断のときが近づいていた。

「『魚金』ではすごく忙しかったので、魚をおろすスピードがつきました。ドイツでは異分野を体験できたし、三光では激務に耐えられる体力もついた(笑)。ここから先、自分のキャリアアップを考えると、独立という選択肢しかありませんでした」

 2016年2月、高円寺の地に「魚貝 ののぶ」を構える。43才にして、満を持しての開業だった。

「自分にできるのはやはり魚。お客様にいいものをたくさん食べていただきたい。以前から、お刺身などもあんなに高くなくてもいいんじゃないかと考えていました。これからも、いい雰囲気の中、いい器を使って、いい魚や貝をお安く提供していきたいと思っています」

フランス・ブルゴーニュに雰囲気のいい店をつくりたい

土田 宣隆

 独立して自分の店を持つことの醍醐味をうかがうと、土田氏は「好きなことを好きなようにできる」と即答。今までやりたくてもできなかったことを前に進められる充足感は、何ものにも代えがたいにちがいない。

「たとえば築地で、これは美味しそうだな、でも、高いからどうしようと迷わずに済む。お客様に召しあがっていただきたいのはもちろんですが、料理人としてもいい食材を使いたい。そんなとき、『今日はいっちゃえ!』と買ってしまえるんです」

 仕事のやりがいにも通じるお客様の「美味しい」の一言。その言葉の響き方も大きく異なってきている。

「ダイレクトに喜べるようになりました。勤め人のときは、べつに会社や上司に言われた通りにつくっているだけだしと、素直に喜ぶことができなくって。日々、自分が美味しいと思ったものをつくり、それが認められるのはやっぱりうれしいですね」

 一方で、経営者ならではのプレッシャーも。一番の悩みどころは、優れた人材の育成と確保の問題だ。

「とにかく、料理人は魚を扱えなければ格好がつかないでしょう。そこに関しては、短期間で身につけられると保証します。とくに将来、独立したいと考えている方は歓迎です。店舗を運営するために必要なお金のことや築地の仕組みなど、何でも聞いてもらいたいと思います」

 スタッフの体制が整ったところで、2店舗目の出店も視野に入れている。そのためにも、まずは現在の1号店を一層盛り立てていかなければならない。さらにその先、土田氏はある夢を思い描いている。

「周りから、『ののぶ』は繁盛しているから真似しようと、目標にされるような店にしていきたいですね。そして、いつか、フランスのブルゴーニュに出店したい。ドイツで働いていたとき、ヨーロッパ各地を巡って気に入ったところです。あの街にこういう落ち着ける、雰囲気のいい店をつくりたいと考えています」

厨房・フロアに立つ経営者
魚貝 ののぶ
住所:東京都杉並区高円寺南4-8-5 KYビル1F
電話:03-4291-7875
時間:17:00~23:30
定休日:水曜日
交通:JR各線「高円寺駅」南口徒歩3分
https://www.facebook.com/魚貝-ののぶ-143610662679021/
  • 文 西田 知子
  • 写真 ボクダ 茂

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