オープン当初(1997年)は、個人店でリストランテをやっている店は都内を探してもほとんどありませんでした。そんな先がけ的な魅力もあり、イタリアさながらのリストランテとして、モダンな料理を提供することをコンセプトに「アッカ」はオープンしました。
「でもリストランテというのは、観光客が訪れる店でもあるんですね。本当の地元の人たちが食べるものは、そこにはないんです。私自身、毎年イタリアへ出かけますが、<あぁ久しぶりに何を食べようか>と考えると、いつも思い浮かぶのは、リストランテの料理ではなく、伝統的な家庭料理だったりする。ニョッキとか、ポモドーロとかね」
自分が日本で提供している料理と、実際に自分が食べたい料理との間に、いつの間にか大きな開きが出来ていたのです。
「もっとシンプルに掘り下げようと思い始めたのです。研ぎすまされた伝統料理。家庭料理なんだけど、きちんとリストランテスタイルになっている料理。そんな方向性を探りはじめて10年を経て、現在のスタイルに変化してきたわけです。今は、本当に自分が食べたいものばかりつくっています」
例えば、こんな料理――。
そう言いながら林シェフがつくりだしたのは、誰もが知っている「アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」。
大粒のイタリア産岩塩を投入したお湯で茹でた乾麺に、イタリア産にんにく、生唐辛子、パルミジャーノ、ヴァージンオイルを絡ませた一品。このシンプルさへの追求が、今の林シェフの考え方を象徴しているようでした。

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