第四十一回 グランビア
2008.4.3

天井の生ハム


見上げれば、天井に生ハム、生ハム、生ハム……。


オープニングイベントに沸き立つ赤坂サカスからすぐ、ビルの地階に潜るとスペインさながらの本格的バル「グランビア」があります。       

天井からぶら下がっている熟成中の豚もも肉がズラリ!

あれ1本で何皿分の量が取れるんですか?「タパス皿で120〜150皿ぐらいの量になります」と金子裕二シェフ。

カウンターにはパリジョスというスペインの爪楊枝が無造作に置かれているだけ。黒板に豪快に手書きされた迫力あるメニュー。この環境はもう椅子なんかに座らず、立ったままカウンターに肘などつき、ビールをグビッとひっかけて、パリジョスで生ハムをつまむのが粋ってもんです。

「1970年代にスペインへ旅した時、バルでつまんだ生ハムに衝撃を受けました。世の中にこんな美味いもんがあったんだと。それから生ハムづくりをはじめて、もう25年になります」

地元の秋田県に生ハム工房を創設。県内で飼育されたオランダの開発品種「ハイポー」種の豚が素材。そこにオーストラリア産天然海水塩のみを使います。その他の添加物は一切なし。それを秋田県の自社工房で12〜30ヶ月間、じっくりと熟成させていきます。

最も長期間の熟成ものは30ヶ月!

「生ハムはその土地の風土が生み出すもの。冬の寒さも、夏の暑さも生ハムづくりには欠かせません。その意味では秋田県の気候は生ハムづくりには合っている。今も工房には2500本の生ハムが熟成されています」


どんな酒にもよく合うのが、自家製生ハムの素晴らしさ。


口当たりはしっとり滑らか。脂の具合も、イベリコ豚のベタッとした脂とは違い、さらりとしているのですがマッタリ感はちゃんとある。そして噛めば噛むほどに、長い月日が育んだ芳醇な味わいが口の中で広がります。


お土産用パックもあるので、早速持ち帰り、泡盛の43度でつまんでみたら、バッチリ合いました。金子シェフ曰く「日本酒にもよく合いますョ」とのこと。

スペインの街角にあるバルに入ると、生ハム、ピルピル、オリーブ、オムレツが必ずメニューにあるそうです。「グランビア」では、この不動のメニューはもちろん、粋なタパススタイルの品々が揃っています。

インテリアはすべてスペインから買い付けてきたもの。オレンジの本場バレンシアから輸入したジュースマシンもありました。ペンキで塗られたドア、金子シェフ自らの手で貼られたタイルなど、店内は温かい手づくり感でいっぱいです。

「業界内でも生ハムに情熱的な人とコラボできればいいなと思っています。そんなFC展開の一環として<グランビア幕張店>がオープンしました」

さらに秋田県の自社工房を利用して一般の方向けに「生ハム塾」を開校。生ハムの素晴らしさを広める活動もしています。

「先日、スペインの田舎町出身のお客様がいらして、小さい頃お母さんが生ハムをつくっていたそうなんですね。で、うちの生ハムを食べながら<ママの味を想い出した>って言ってくれて。嬉しかったです」

シェフの仕事


<MENU>

 

■自家製生ハム(秋田産)  


■小エビのピルピル  

 

■牛の胃袋の煮込み  


■トルティーヤ(オムレツ)  

 

■にんにくと卵のスープ  

 

■自家製ソーセージ

500円

 

500円

 

600円

 

500円

 

700円

 

700円

 

  爪楊枝   黒板メニュー   店内  
  スペインの爪楊枝「パリジョス」。これで生ハムやオリーブをつまめば、バル気分満点!   調度品はすべてスペイン製。 黒板メニューには旬のメニュー! 
このライブ感がバルなのです。
  手前の生ハムはイベリコ豚です。自家製生ハムと食べ比べても楽しいですね。  

店舗情報

グランビア
東京都港区赤坂6-4-21 美濃屋ビルB1F
tel.03-3505-3123
営:18:00〜翌1:00
休:日曜日
交:千代田線赤坂駅6番出口徒歩1分

 

<予告>次回のリレーキーワードは?
 
「グランビア」→ 欧州つながり →「コム・ア・ラ・メゾン」

自社工房までつくってしまうという金子シェフの生ハムにかける情熱、凄かったですね。次のお店にご紹介いただいたのは、フランスのランド地方の料理を専門にしている「コム・ア・ラ・メゾン」さんです。「俺もついつい掘り下げちゃう方だけど、涌井シェフは若いのに、妥協のダの字も知らないね(笑)」。お互いのお店のお客様でもあるそうです。ランドの地方料理、その魅力を伺ってきたいと思います。
文:高木 正人