
有馬邦明シェフは、1996〜1997年の期間、イタリア各地に滞在しました。そこで感銘を受けたのは、生産者と料理人がそのエリアでしっかりと結びついていることでした。
「風土に根ざした素材を丹精込めて生産し、旬を楽しむという食の循環を、村や町で展開しているんですね。いわゆるスローフード運動です。<この時期のこの素材は最高だょ。トマトはお隣のおばさんの畑でいただいたものさ>みたいな感じ。素材を通して人と人、人と自然、地域と地域がつながっているんです」
2002年2月、門前仲町で「パッソ ア パッソ」をオープンさせた理由は「この町にイタリアの活気を感じたから」。今でも祭りになれば、御輿を担ぎます。冷静な表情とは対照的に、体内にはラテン系の血が流れているのかもしれません(笑)
写真は「温泉もやしのパスタ」。温泉熱を利用して栽培された青森県産のもやし、同じ青森県で水揚げされたあんこう、かつおの酒盗、ほうれん草、生姜が素材です。
あんこうの旨味がオリーブオイルを介して全体に行き渡り、ほうれん草のしんなり具合が、主役である温泉もやしのシャキシャキ感を見事に引き立てています。すべて和の素材なので、味わいのアクセントにはアンチョビではなく酒盗なのですね。そして驚くことに食べ終わって数時間、カラダがポッポと温かい。これは生姜の効果でしょう。
私はこの一皿を「ニッポンの真冬のパスタ 〜温泉もやし編〜」と名付けたいっ!