第三十六回 レストラン オマージュ
2008.1.24

店の前で


ゆるがないコンセプトで、本物のフレンチを浅草から発信。


生まれも育ちも浅草。下町の閑静な路地に立つ姿がしっくりと馴染む荒井シェフは、大らかに笑い、等身大の自分をさらけ出し、それでいて人一倍誠実な人間味溢れるシェフでした。

 

前回登場の「レストラン サカキ」で、オープン直後3ヶ月も予約が入らなかったというエピソードをご紹介しましたが、「オマージュ」では2000年のオープンから丸2年間も集客に苦労されたそうです。

 

「初めのうちは経営的にガタガタで……。このままではもうダメかもしれないと。で、そういう時期に限ってお客様がいろいろと言ってくるんですよ。ステーキハウスにしちゃえとか、ゴハンをメニューに入れろとか、浅草でかしこまってフレンチはねぇーだろとか(笑)」

 

しかし、荒井シェフはコンセプトを崩しませんでした。8年もの国内修業と1年のフランス滞在を経て、ようやくオープンさせた自分の店。そう簡単に変えるわけにいきません。

 

「店のコンセプトは<浅草にあって、本物のフランス料理を提供していくこと>。これだけは絶対に崩せなかったし、お客様との間でも、そのスタンスだけは頑固に守りつづけました」

 

ベストの仕事を続け、2年が経ち、3年目に入った頃には予約も急増。「浅草のフレンチといえば<オマージュ>」と言われるほどの店へと成長していたのです。

 

そして今年はキッチンも広くして、2階にもダイニングを増改築。リニューアルオープンすることになりました。



温かいサービスと、誠実な仕事ぶり。
バリュー感いっぱいの本格フレンチ。

写真右の料理は「蝦夷鹿モモ肉のポワレ 黒胡椒風味」です。

 

余熱で優しく何度も繰り返し火入れされた蝦夷鹿は、ピンク色の断層も美しく、ふんわりと滑らかな肉質で、旨味がしっかりと閉じこめられていました。黒胡椒と岩塩の粒で食感をプラス。さらに赤ワインとポルト酒のフルーティなソースがたっぷり♪

 

食後に出た「アーモンドのババロア」は、コクのある大人のデザートに仕上がっていました。荒井シェフが二十歳の時にレシピ開発したオリジナルのデザートです。

 

料理を運ぶタイミングや、各テーブルへの気配りも含め、サービススタッフの集中力も見事です。

 

「今、ふたりのスタッフと仕事をしていますが、ふたりとも食べ歩きが好きで、何度かうちで食事をしてファンになってくれて、それで<ぜひ学びたい>ということで、採用したんですね。だからモチベーションも高いんです。レストランは本当に人でガラリと変わっちゃいますからね。いいスタッフと巡り会えた僕は、宝クジに当たったみたいにラッキーなオーナーだと言えます」

 

たまにはフレンチもいいね、と浅草の人たちが新しい食文化に目覚めるようになって数年が経ちました。そして遠方からも荒井シェフのフレンチを目指して来店するファンが日々増えています。

 

「浅草は和食だけの町じゃない。フレンチだってあるゾ、ということをこれからも発信していきたいですね」

蝦夷鹿


<MENU>

コース料理
■オマージュ
■オートキュジーヌ

 

アラカルト

前菜

■クロワゼ鴨のドディーヌ ルバーヴのゴンフィチュール添え

魚料理
■鴨フォアグラの料理 本日のスタイル  

※例:フォアグラのポワレ ハイビスカスのソース

主菜
■骨付き仔羊背肉のポワレ スパイス風味

※サービス料として別途5%承ります。
※ディナーは電話にてご予約をお願いします。



8,400円

21,000円

 

 

 

2,625円


2,940円




3,150円

 



  (完全予約制) ※黒トリュフづくしのコース開催中

 

  3人で   カキブイヨン   内装  
  「オマージュ」を支える三人衆。下町・浅草らしい大らかな笑顔が最高!   ふくよかな牡蠣をスープと共にいただく「牡蠣と温野菜のブイヨン仕立て」   キッチンの改装と2階を増設し、2008年中にリニューアルオープンの予定です。  

店舗情報

レストラン オマージュ
東京都台東区浅草4-43-4
tel.03-3874-1552
営:ランチ   11:30〜13:30(L.O.)
  土日祝   12:00〜13:30(L.O.)

  ディナー 18:00〜21:00(L.O.)
休:月曜日
交:銀座線浅草駅徒歩10分

 

<予告>次回のリレーキーワードは?
 
「レストラン オマージュ」→ 築地で立ち話仲間 →「Passo a Passo」

次回ご登場いただくお店は、やはり下町の面影を残す町、門前仲町からイタリアン「パッソ ア パッソ」さんです。「有馬シェフは、とても実力のあるシェフです。朝、築地でもちょくちょく遭ったりして、素材や料理のことなど、様々な話をしています。とても気さくな方ですよ」とのこと。ランチでさえなかなか予約が取れないという超人気店の魅力についてレポートしたいと思います。
文:高木 正人