
生まれも育ちも浅草。下町の閑静な路地に立つ姿がしっくりと馴染む荒井シェフは、大らかに笑い、等身大の自分をさらけ出し、それでいて人一倍誠実な人間味溢れるシェフでした。
前回登場の「レストラン サカキ」で、オープン直後3ヶ月も予約が入らなかったというエピソードをご紹介しましたが、「オマージュ」では2000年のオープンから丸2年間も集客に苦労されたそうです。
「初めのうちは経営的にガタガタで……。このままではもうダメかもしれないと。で、そういう時期に限ってお客様がいろいろと言ってくるんですよ。ステーキハウスにしちゃえとか、ゴハンをメニューに入れろとか、浅草でかしこまってフレンチはねぇーだろとか(笑)」
しかし、荒井シェフはコンセプトを崩しませんでした。8年もの国内修業と1年のフランス滞在を経て、ようやくオープンさせた自分の店。そう簡単に変えるわけにいきません。
「店のコンセプトは<浅草にあって、本物のフランス料理を提供していくこと>。これだけは絶対に崩せなかったし、お客様との間でも、そのスタンスだけは頑固に守りつづけました」
ベストの仕事を続け、2年が経ち、3年目に入った頃には予約も急増。「浅草のフレンチといえば<オマージュ>」と言われるほどの店へと成長していたのです。
そして今年はキッチンも広くして、2階にもダイニングを増改築。リニューアルオープンすることになりました。