極上のブラジリアン・ミュージックに彩られた 陽気でロマンチックなラブ・ファンタジー P・クルスのハリウッドデビュー作! この上なく美しいが、極度の乗り物酔い体質のイザベラ。体も弱くて友達もおらず、厨房で料理女のまわりをウロチョロしていたため料理が大の得意だ。そんな彼女をかわいそうに思った海の女神イマンジャは、彼女に“特別”な才能を授ける。かくしてイザベラの料理には時々、彼女の意識しないところで不思議な魔法がかかるのだ。 夫に浮気されサンフランシスコにやってきたイザベラは、色男だった夫に未練タラタラ。「このまま苦しみ続けるなら、いっそ忘れたい」とイマンジャに願掛けする。夫への恋心が海底に沈められた途端、彼女のフェロモンは全開に! まさにすべての男の舌と心を溶かす、魔性の女となる。 題名から、上昇志向が強い女のサクセス・ストーリーかと思いきや、かなり甘口な南国風ラブ・ファンタジーの本作。ハリウッド進出直後のペネロペ・クルスがとにかく可愛い! 彼女のお世辞にも上手いとは言えない英語すら、キュートに見えるのだからスゴイ。夫役の俳優も典型的なラテン系で、ヒロインが自分に呪いをかけなきゃ忘れられなかったのも納得の男前。またイザベラと同居する親友の女装ゲイ役ハロルド・ペリノー・Jr(『ロミオ+ジュリエット』マキューシオ役でおなじみ)が、作品の絶妙なスパイスとなっていて心憎い。 音楽と美術センスの良さに脱帽! スウィートなファンタジーと聞いて尻込みしたあなた、ちょっと待って! センス抜群の本作を見逃すのはもったいない。 まずは全編に流れるボサノバやサンバ。女性監督のフィナ・トレスが2年の歳月をかけ、1940年代のブラジリアン・ミュージックを中心に厳選したというが、これがことごとくセンスよし! 夫がとろけるように歌うバラードも、アカデミー賞受賞者ルイス・バカロフの作曲。ちなみに歌は吹き替えで、ブラジルの人気歌手パウリーニョ・モスカが歌っている。極上のサントラだけでもご機嫌になること間違いない。 衣装、美術のセンスも最高。ほぼ舞台はサンフランシスコだが、テイストはあくまで陽気なラテン。インテリア、壁色、小道具まで、その計算に一分のぬかりもない。『アメリ』の部屋さながらの、凝ったセットにとにかく目が引き付けられる。 中でも素晴らしいのが、キッチンのデザインだ。幼少時のイザベラが料理を習った、楽園のような厨房。料理教室の清潔でクラシカルなキッチン。イザベラと親友の部屋の、小さいが使い勝手のよさそうなお勝手と、どれも個性があって魅力的なのだ。 ちなみに題名には、かなりセクシーで大胆な秘密が・・・。それは見てのお楽しみ!
文:谷藤さおり
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