「ソウル・フード」


1997年 アメリカ  115分
■監督・脚本:ジョージ・ティルマンJr.
■製作総指揮:ケネス“ベイビーフェイス”エドモンズ
■出演:ヴァネッサ・L・ウィリアムス ヴィヴィカ・A・フォックス ニア・ロング マイケル・ビーチ
■DVD「ソウル・フード」 販売元:20世紀フォックス ホームエンタテインメント ジャパン
この情報は2006年9月時点のものです。
料理を歴史や背景から理解したい
少年アマッドは、おばあちゃんの“ビッグ・ママ”が開く食事会“日曜ディナー”が大好き。毎週日曜日、彼女の3人の娘とその家族が集まり、ワイワイと南部料理を楽しむのだ。しかし裕福な長女テリー、アマッドの母である次女マキシーン、前科者と結婚した三女バードの三姉妹の間には、ケンカが絶えない。そんな家族の仲を取り持っていた“ビッグ・ママ”が病気で倒れた途端、姉妹の関係はみるみる悪化。ついには“日曜ディナー”の伝統も途絶えてしまう。・・・。
姉妹は大変度
料理の魅力度
総評
テンポのいいドラマ、脇役以上の意味を持つ料理と音楽など、見どころたっぷり。時間がなかったのか、急ぎ足すぎるラストが残念!

 

テーブルに山と並んだソウル・フードは圧巻!
食で繋がれてきた家族のスパイシーな愛憎劇


ヤケに豪華なサウンドトラックの秘密

  “ビッグ・ママ”の愛称通り、大きな体を揺らして笑う陽気なママ・ジョーは、家族のトラブルを解決する名人だった。しかし彼女が倒れた今、主人公アマッドは「家族全員のフトコロに入っていける子供の自分が、祖母の代わりになろう」と決心する。
  しかし子供の目から見ても、家族の関係は“オトナの事情”でドロドロ。なかでも辛辣な皮肉屋の長女テリーと次女マキシーンの仲は険悪だ。お互いを軽蔑し、内心ではうらやみ、過去のイザコザから自由になれない三姉妹。さらに姉妹のいとこと夫たちが、新たな火種を持ち込んで…。
  そんな黒人家庭の愛憎劇を、やたらと豪華なサウンドが彩っていく。主題歌を歌うのはボーイズ・II・メンだし、冒頭の結婚式で流れる曲はアース・ウィンド&ファイアーというホットさ! さらに人気女性シンガーのヴァネッサ・L・ウィリアムスが、長女テリーを演じている。…実は本作 “R&Bの神様” ベイビーフェイスが製作総指揮を務めているのだ。ブラック・ミュージック・ファンなら、劇中の彼のライブシーンだけでも一見の価値アリ!

遠くて近いソウル・フードの世界

  ケンカの絶えない家族を団結させるため、毎週“ビッグ・ママ”が開いていた“日曜ディナー”。そこで振る舞われるのはフライド・チキンに豆料理、マカロニ・チーズ、煮込み、肉団子、コーンブレッド、パイなど伝統的な南部料理だ。ちなみに取り皿は、ヒスイ色のファイアーキング!
  いわゆるソウル・フードと呼ばれる料理だが、そこに豚足ハムや臓物料理が含まれているのは、肉を口にできなかった先人が豚足や臓物をどうおいしく食べようかと工夫した結果なのだという。こうして“ビッグ・ママ”はレシピだけでなく、自分たちの歴史や“ソウル”まで伝えていく。
  それにしても、女たちが全員キッチンに集合し、男たちはリビングで呑気に酒盛りをする図は、古き良き日本の盆・正月の風景と重なる。そこで繰り広げられるドラマも、子供のころ誰もが垣間見たものにそっくりのはずだ。アフロ・アメリカンでも、現在はこうした“日曜ディナー”を開く家庭は少ないそうだ。監督も、自分の子供時代の経験を元にこの映画を撮ったという。あふれるノスタルジーと子供が主人公なのには、この辺りに理由がありそうだ。
  アメリカの映画公式サイトでは、たくさんのレシピが公開されている。しかし“ビッグ・ママ”が倒れたのは、糖尿病が原因。美味しそうな料理をたっぷり見せつけておいて、まるでタバコの箱に書かれた警告のようだと思わず苦笑してしまった。

 


文:谷藤さおり

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