「ハッピー・ファミリー」

 

2002年・中国  141分
■監督:チャン・イーバイ シエ・ドン
■脚本:レイ・ティン
■出演:リー・ヤーポン ジョウ・シュン 

リウ・ペイチー スーチン・ガオワー グン・ラ
■DVD「ハッピー・ファミリー」
  販売元:エプコット ¥3,990(税込)

この情報は2008年4月時点のものです。


“跡継ぎ探し”が頭痛のタネ

北京で老舗の牛肉麺店を営むユー・ハオション。そろそろ子供たちに店を継がせようと考えているが、アメリカ帰りでIT企業に勤める長男マンタン、カーレーサーを夢見る次男フークイはまったく家業に興味を示さない。ユー家にはファースト・フード店で働く末っ子の娘ランランもいるのだが、昔気質の父親は女子に店を継がせるつもりはないらしい。一方、店の牛肉麺が大好きなランランは、父親の目を盗んでは秘伝のスープの研究にいそしんでいた…。

結局は仲良し度
料理の魅力度
総評

微笑ましい家族モノのはずが、ところどころに施されたコミカルすぎる演出に「これが華流か!」と衝撃が走るホーム・ドラマ。

 

秘伝の味を守るのも楽じゃない!?
中国発のユーモラスなホーム・ドラマ

強烈なコメディ風味に、目がテン!?

 留学先のアメリカでそのまま就職していたユー家の長男マンタンが、転勤で北京に帰ってくることに。しかし両親が帰国を楽しみにしていた息子の隣には、見たことも聞いたこともない嫁の姿が…!!
 「親に相談もせずに結婚するとは!」と激怒する父親。さらに嫁はWABCW(アメリカ生まれの中国人)で、どうにか中国語は話せるものの、意識はアメリカ人に近い。当然、義父母が求めるW中国の嫁の姿Wも理解できず、すれ違いが生じてしまう。一方、次男は行くあてのない家出娘を勝手に実家に居候させるし、娘も両親より兄嫁の肩を持ち、家のトラブルを増幅させる。
 日本では、「地震・雷・火事」の次に怖いものとされてきたオヤジ。しかし今でもその権威を保てているのは、サザエさん一家くらいのもの。日本と同じく、父親の独裁や昔ながらの考え方が終わりを迎えた中国の一家が、新たな家族のありかたを模索するファミリー・ドラマだ。
  この作品がスゴイのは、内容は結構シリアスなのにも関わらず、作風がコメディ・タッチなところだ。突然ラッパーが登場し、ドラマのナレーション的な状況説明を歌いだしたり、原色のドレスを着た熟女ダンサーが踊りだしたり…。WシュールWの域に達した演出に、衝撃を受けるはず。
 さらに家族がそれぞれ懸命にがんばる姿が映し出されるシークエンスでは…なぜか社交ダンス教室で踊り狂う母!家族がバラバラになり、だれもが渋い顔付きの時に…母、一人でプレイステーションに熱中!今の時代、どこの国でも図太くてどっしりしているのは、父親より母親のようだ。


皮肉にも家族を引き裂くW秘伝の味W

 長男の嫁がすっかり一家になじんだ頃、持ち上がってくるのが「伝統の味の継承者問題」だ。
 ユー家の牛肉麺の秘密は、最後に麺にかけられるWひとさじのスープWにある。父親が家族ですら厨房に入れずに秘密を守ってきた、まさに一子相伝のスープだ。父はそれをどちらかの息子に教えたいと考えるが、2人はすでに家業以外の世界で自分たちの人生を見つけており、後継者問題は早くも暗礁に乗り上げる。
 実は娘のランランが店の味を一番愛し、守りたいと思っているのだが、「秘伝を持って他家に嫁がれてはたまらない」と、父親は最初からランランを後継者にすることを考えていない。父親から何も教えてもらえないランランは、独力で新たな牛肉麺を開発し、ついには父親の店の向かいに自分の店を出してしまう。はてさて、この父娘対決や、結果はいかに!?

文:谷藤さおり