料理は最高なのに、お店は閑古鳥・・・。 不遇のイタリア人兄弟、最後の大勝負! イタリア料理、受難の時代!? プリモ&セコンド兄弟がイタリアから渡米し、田舎町に店を構えて2年。職人カタギな兄・プリモが作るイタリアンはいつだって最高! なのに、客足は芳しくない。 その理由はむしろ店ではなく、客側にあった。リゾットを注文した女性客は、テーブルに置かれた皿を見るなり怒りだす。「さんざん待たせたあげく、これがイタリア料理ですって!? もういいから、ミートボールのスパゲッティーを持って来て!」 しかしそんな彼女を、イナカ者と切り捨てることはできない。一昔前は私たち日本人だって、チーズしか乗ってないピザや、ソースが緑色のパスタがあるなんて知らなかった。イタリア料理といえば、そう。真っ赤なスパゲッティー。それが日本のみならず、50年代のアメリカでも同じ認識だったとは! 思わず苦笑してしまう場面だ。 とはいえ、気の毒なのは兄弟だ。料理を客に合わせるのか、それとも客に本場の味を教えるのか…。仲のよかった兄弟も、今では寄れば衝突するほどの険悪ムードだ。・・・。 世界一おいしいモノの詰まったパイ 一方、同じイタリア移民ながら成功した人間もいる。歌手に「オー・ソレ・ミオ」をジャズ風に歌わせ、ステーキを出す人気店の主人・パスカルだ。彼のコネで、有名なジャズ音楽家が兄弟の店を訪れることが決まる。セレブに気に入られ、クチコミで評判が広がれば…と期待してのことだ。 兄弟が最後の希望を託し、迎えたその夜。しかし、音楽家はなかなかやってこない。主賓不在のまま、兄弟の恋人、友人、顔見知りだけで仕方なくディナーを始めることに。スープ、イタリアの国旗に見立てた3色のリゾット、子豚の丸焼き…。セコンドが有り金をはたき、プリモが腕によりをかけて準備したディナーは豪華そのものだ。 そして極めつけは、出身地の郷土料理だという「ティンパーノ」。プリモに言わせれば、「太鼓(ティンパニ)のなかに、世界中で一番うまいもんが詰まってる!」という逸品。ガルガネッリ(ペンネ)、トマトソース、ゆで卵、ミートボールなどの材料をパイ生地で包み、オーブンで焼き上げる。そしてタライ(?)からティンパーノを抜き出した瞬間、兄弟は”黄金色の太鼓“をなでまわし、しまいには思わず頬ずりをする。兄弟がどれほど故郷の料理を愛しているのか、その愛おしげな仕草から感じ取れる微笑ましいシーンだ。 この映画では、店の行く末は明らかにならない。しかし晩餐に集まった人々の笑顔を思うと、明るい未来が開けたのではと楽観視してしまう。ラストのオムレツの黄色が、幸せな未来を象徴していたのでは、と。 文:谷藤さおり
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