「リストランテの夜」


劇場公開時タイトル/シェフとギャルソン、
リストランテの夜

1996年 アメリカ  109分
■監督・出演・脚本:スタンリー・トゥッチ
■監督・出演:キャンベル・スコット
■脚本:ジョセフ・トロピアーノ
■出演:トニー・シャローブ イアン・ホルムイザベラ・ロッセリーニ
■VHS「リストランテの夜」(カラー作品)廃盤
VHS レンタル中
この情報は2006年8月時点のものです。
職場に大切な“相棒”がいる
50年代の米ニュージャージー。小さな港町の片隅に、イタリア移民の兄弟が開くリストランテ「パラダイス」がある。しかしシェフを務める兄プリモが本場の味にこだわりすぎるためか、店は閑古鳥が鳴く始末。経営担当の弟セコンドは、兄にアメリカ人向けの料理を作らせようとするものの、内心では兄の正統派イタリアンに誇りを持っている。そんな折り、知人の計らいで有名人が来店することに。彼を喜ばせるため、兄弟は最高のディナーを準備するのだが・・・。
人物の描写度
料理の魅力度
総評
プリモ&セコンド兄弟だけでなく、恋人や商売がたきのパスカルら脇役までもが魅力的。ティンパーノを頂点とするイタリアンの数々にKO寸前!

料理は最高なのに、お店は閑古鳥・・・。
不遇のイタリア人兄弟、最後の大勝負!


イタリア料理、受難の時代!?

  プリモ&セコンド兄弟がイタリアから渡米し、田舎町に店を構えて2年。職人カタギな兄・プリモが作るイタリアンはいつだって最高! なのに、客足は芳しくない。
  その理由はむしろ店ではなく、客側にあった。リゾットを注文した女性客は、テーブルに置かれた皿を見るなり怒りだす。「さんざん待たせたあげく、これがイタリア料理ですって!? もういいから、ミートボールのスパゲッティーを持って来て!」
  しかしそんな彼女を、イナカ者と切り捨てることはできない。一昔前は私たち日本人だって、チーズしか乗ってないピザや、ソースが緑色のパスタがあるなんて知らなかった。イタリア料理といえば、そう。真っ赤なスパゲッティー。それが日本のみならず、50年代のアメリカでも同じ認識だったとは! 思わず苦笑してしまう場面だ。
  とはいえ、気の毒なのは兄弟だ。料理を客に合わせるのか、それとも客に本場の味を教えるのか…。仲のよかった兄弟も、今では寄れば衝突するほどの険悪ムードだ。・・・。

世界一おいしいモノの詰まったパイ

  一方、同じイタリア移民ながら成功した人間もいる。歌手に「オー・ソレ・ミオ」をジャズ風に歌わせ、ステーキを出す人気店の主人・パスカルだ。彼のコネで、有名なジャズ音楽家が兄弟の店を訪れることが決まる。セレブに気に入られ、クチコミで評判が広がれば…と期待してのことだ。
  兄弟が最後の希望を託し、迎えたその夜。しかし、音楽家はなかなかやってこない。主賓不在のまま、兄弟の恋人、友人、顔見知りだけで仕方なくディナーを始めることに。スープ、イタリアの国旗に見立てた3色のリゾット、子豚の丸焼き…。セコンドが有り金をはたき、プリモが腕によりをかけて準備したディナーは豪華そのものだ。
  そして極めつけは、出身地の郷土料理だという「ティンパーノ」。プリモに言わせれば、「太鼓(ティンパニ)のなかに、世界中で一番うまいもんが詰まってる!」という逸品。ガルガネッリ(ペンネ)、トマトソース、ゆで卵、ミートボールなどの材料をパイ生地で包み、オーブンで焼き上げる。そしてタライ(?)からティンパーノを抜き出した瞬間、兄弟は”黄金色の太鼓“をなでまわし、しまいには思わず頬ずりをする。兄弟がどれほど故郷の料理を愛しているのか、その愛おしげな仕草から感じ取れる微笑ましいシーンだ。
  この映画では、店の行く末は明らかにならない。しかし晩餐に集まった人々の笑顔を思うと、明るい未来が開けたのではと楽観視してしまう。ラストのオムレツの黄色が、幸せな未来を象徴していたのでは、と。


文:谷藤さおり

ごちそうエンタインデックスへ>>


応募者プレゼント