「フライド・グリーン・ トマト」
個人的に、ラストで明かされる「ソースの秘密」がいただけなかったので総評-0.5。とはいえ名画なのは紛れもない事実。未見の方はぜひ!
50年前と現在、2つの友情物語を繋ぐのは 素朴な名物料理とハチミツの香り 老女が語る、あるカフェの歴史 老人ホームのホールで、見知らぬ老女ニニーに呼び止められたエヴリン。ニニーが勝手に始めた思い出話を半ば疎ましく聞いていたが、次の瞬間、思わず「なんですって?」と身を乗りだす。彼女が顔色ひとつ変えず、「殺人」という単語を口にしたからだ。人なつっこい老女におよそ似つかわしくないこの凶悪な一言から、エヴリンはニニーの話に俄然興味を持ち始める。 50年前のアラバマ。野生児のように育ったイジーと、いかにも良家のお嬢さん風のルース。まったくタイプの違う2人だったが、いつしかお互いに認めあう無二の親友となっていく。数年後、ルースが暴力夫に苦しめられていることを知ったイジーは、彼女を婚家から連れ戻し、一緒にカフェをオープンさせる。黒人の使用人を家族同然に愛するイジーは、白人には店内で、店に入ることすら許されない黒人には裏庭で料理を振る舞う。しかしKKKの黒人リンチがおおっぴらに行われていた時代だ。店を面白く思わない者も出始めた頃、ルースの夫が彼女と息子を連れ戻しにやってくる・・・。 今も昔も変わらない、唯一のもの 窮屈な時代の空気などお構いなしに、信念を貫くイジーとルース。エヴリンはそんな昔話に目を輝かせ、みるみる生気を取り戻していく。しかし2人が開いていた「駅前カフェ」は、もう存在しない。店の前を走っていた汽車も廃線になった。そしてニニーのすべてだった、自宅までも・・・。 そんな過去と現在の断絶を唯一埋める存在が、カフェの看板メニューだった「フライド・グリーン・トマト」だ。まだ熟す前の青いトマトを輪切りにしてソテー。それに衣をつけて油で揚げる素朴な料理なのだが、なんと味付けはハチミツだという。 どんな味なのか想像もつかないが、それを食べたがるニニーのためにエヴリンが揚げたグリーン・トマトは、こんがりとおいしそう! ニニーは昔を懐かしみ、エヴリンは憧れのイジーとルースに思いを寄せトマトにかじりつく。2人の間には、昔話に負けないくらい強い絆が生まれていた。 思えば、女たちが苦境の中で店を切り盛りし、鮮やかに自立していくストーリーは『バグダッド・カフェ』しかり、『カラー・パープル』しかり、ほかの映画にも見られる設定。しかし本作がその2本の名画と大きく違う点は、現在と過去が並行してダイナミックに描かれる構成と、サスペンスの要素だ。それはもちろん「殺人」の真相なのだが、私はそれよりむしろ、ニニーの話には微妙にウソが紛れ込んでいて、彼女がイジー本人なのでは?と邪推してしまい、その謎解きに夢中になってしまった。 文:谷藤さおり
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