「フライド・グリーン・
トマト」


1991年 アメリカ  130分
監督: ジョン・アヴネット
原作・脚本:ファニー・フラッグ
出演:メアリー・スチュアート・マスターソン
ジェシカ・タンディ キャシー・ベイツ
メアリー=ルイーズ・パーカー
この情報は2006年7月時点のものです。

 

 

 

記憶に残る名物料理を作りたい
親戚の面会で老人ホームを訪ねた中年女性エヴリンは、おしゃべり好きな老女ニニーと出会う。彼女が語るのは、「ホイッスル・ストップ・カフェ」(駅前カフェ)を営んでいた2人の女性の昔話。人種差別がはびこり女性の地位も低かった50年前のアラバマを、勇気を持って小気味よく生きたイジーとルース。ニニーの語る物語に夢中になったエヴリンは、面会日ごとに彼女の元を訪れる。やがてエヴリン自身も2人の物語に勇気づけられ、大きく変身していくのだが・・・。
 
 
女の友情度
料理の魅力度
総評

個人的に、ラストで明かされる「ソースの秘密」がいただけなかったので総評-0.5。とはいえ名画なのは紛れもない事実。未見の方はぜひ!


50年前と現在、2つの友情物語を繋ぐのは
素朴な名物料理とハチミツの香り


老女が語る、あるカフェの歴史

  老人ホームのホールで、見知らぬ老女ニニーに呼び止められたエヴリン。ニニーが勝手に始めた思い出話を半ば疎ましく聞いていたが、次の瞬間、思わず「なんですって?」と身を乗りだす。彼女が顔色ひとつ変えず、「殺人」という単語を口にしたからだ。人なつっこい老女におよそ似つかわしくないこの凶悪な一言から、エヴリンはニニーの話に俄然興味を持ち始める。
  50年前のアラバマ。野生児のように育ったイジーと、いかにも良家のお嬢さん風のルース。まったくタイプの違う2人だったが、いつしかお互いに認めあう無二の親友となっていく。数年後、ルースが暴力夫に苦しめられていることを知ったイジーは、彼女を婚家から連れ戻し、一緒にカフェをオープンさせる。黒人の使用人を家族同然に愛するイジーは、白人には店内で、店に入ることすら許されない黒人には裏庭で料理を振る舞う。しかしKKKの黒人リンチがおおっぴらに行われていた時代だ。店を面白く思わない者も出始めた頃、ルースの夫が彼女と息子を連れ戻しにやってくる・・・。


今も昔も変わらない、唯一のもの

窮屈な時代の空気などお構いなしに、信念を貫くイジーとルース。エヴリンはそんな昔話に目を輝かせ、みるみる生気を取り戻していく。しかし2人が開いていた「駅前カフェ」は、もう存在しない。店の前を走っていた汽車も廃線になった。そしてニニーのすべてだった、自宅までも・・・。
  そんな過去と現在の断絶を唯一埋める存在が、カフェの看板メニューだった「フライド・グリーン・トマト」だ。まだ熟す前の青いトマトを輪切りにしてソテー。それに衣をつけて油で揚げる素朴な料理なのだが、なんと味付けはハチミツだという。
  どんな味なのか想像もつかないが、それを食べたがるニニーのためにエヴリンが揚げたグリーン・トマトは、こんがりとおいしそう! ニニーは昔を懐かしみ、エヴリンは憧れのイジーとルースに思いを寄せトマトにかじりつく。2人の間には、昔話に負けないくらい強い絆が生まれていた。
  思えば、女たちが苦境の中で店を切り盛りし、鮮やかに自立していくストーリーは『バグダッド・カフェ』しかり、『カラー・パープル』しかり、ほかの映画にも見られる設定。しかし本作がその2本の名画と大きく違う点は、現在と過去が並行してダイナミックに描かれる構成と、サスペンスの要素だ。それはもちろん「殺人」の真相なのだが、私はそれよりむしろ、ニニーの話には微妙にウソが紛れ込んでいて、彼女がイジー本人なのでは?と邪推してしまい、その謎解きに夢中になってしまった。


文:谷藤さおり

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